• まだ、満足できない

PCとアンプをできる限り近づけて、USBケーブルの長さを3.6mにし、容易に入手できる中では最高額の部類に入るFurutech GT2-NCF-USB-Bを買って、つなぎましたが、「I Can't Get No Satisfaction」となりました。高域の付帯音があって、帯域がちょっと高域にずれている感じ、私が一番神経質になっている、スネアの音がインチ小さくなっていないよね、管楽器の音が原音より高域に寄って不自然になってないよね、の問題が解消できなかったのです。こりゃ、3.6mでもダメだよなぁ、もう、PCとアンプを並べるくらいにしないといけないんだよなぁ、と思いました。その後、一時期、デジタルオーディオ専用のPCを仕立てて、それをメイン機からリモートデスクトップで操作するというのも検討してました。でも、ある時、モニターとキーボードとマウスとPCスピーカーを長いケーブルで繋いだら、PCをアンプの横に置けるじゃん、ということに気がつきました。そんなん普通すぐに気づくだろ、ですよね。USBの延長ケーブルは手元にあったので、4mのHDMIケーブルと3.6mのオーディオ延長ケーブルを買って、置き直しました。あら、電源ケーブル、元の長さでもよかったね。まあ、音が良くなったんで、買ったやつをそのまま使いますが。

• なかなか、満足できない

さて、これでUSBケーブルは1m程度で十分となりました。で、Furutechは、高域に音が寄っていたから他のメーカーのを買おう、オヤイデ電気が銀線ケーブルを手が届く価格で出していたので、Continental 5S V2を買いました。中低域に付帯音がある気がしたので、AudioquestのCarbonを買いました。これにも満足しなかったので、ZonotoneのGrandio を買いました。これにも満足せず、3.6mながら1.2mに負けない音質のFurutechのGT2-NCF-USB-Bの1.2mを更に買う、という経緯を辿りまして、結果、まあまあ高額のUSBケーブルが手元に4種類あるという状態になりました。まあ、酔狂ですね。とりあえず、4つのケーブルのデータを並べてみましょうか。

メーカー名	型名	長さ	価格	信号線	電源線
オヤイデ電気	Continental 5S V2	1.2m	28,160円	5N純銀単線	102SSC
Furutech	GT2-NCF-USB-B	1.2m	25,930円	銀コーティングOCC	銀メッキOCC
Audioquest	Carbon	1.5m	23,220円	5%シルバーコーティングLGC
Zonotone	Grandio USB2.0	1.2m	14,400円	6NCu/PCUHD/純銀コートOFC	無酸素銅OFC

• 4ケーブルを聞き比べて

- Furutech　GT2-NCF-USB-B





4ケーブルを聞き比べて、常用に選んだのは、Furutech GT2-NCF-USB-Bでした。いろいろ買った挙げ句、最初に買ったGT2-NCF-USB-Bに落ち着くって、素直に最初に買ったやつの1.2m版を買ったら良かったって事じゃん、なんですが、しかし、聞き比べてみないと分かりませんからね。
とにかく音の分解能が超絶です。スネアドラムのヒット音をスティックが皮を叩く音、スネアワイヤーが振動する音、胴が鳴る音にちゃんと再生し分けるとか、管楽器の音を非整数倍音成分までしっかり再生するとか、まあ、全ての音が生々しくて、原音再生とはこのケーブルのためのある言葉といいたくなるくらいの音です。音の色づけ等も一切なく、原音そのまま、という感じです。全体としては、若干高域に力が寄っている気がするんですが、高域の付帯音があるというわけではないので、原音から音が変わってそうなっているというわけではないです。
オーディオケーブルメーカーがこぞって使う線材を製造するメーカーなんだから、音声信号の伝送には技術的な裏付けのある専門的な知見があるんだろうと思って、Furutechに目をつけたんですが、その判断は正しかったということです。

- オヤイデ電気 Continental 5S V2







GT2-NCF-USB-Bの3.6mの高音がきつく感じたので、Furutechと同じく線材の開発もやっているということで、オヤイデ電気の製品を選びました。いろいろ見ていたら、銀線を導線に使っているということで、これを選びました。銀線は銅線よりも導電特性がいいほぼ唯一の金属なのですが、想像がつくとおり高価。Audioquestの銀線ケーブル、Diamondは10万円です。で、それが3万切った値段で変えるんですから。
最初に聞いたときは、好印象でした。Furutechの高音がきつく感じていたところ、高音は当たりがソフトで、音域は中低域に力がある感じ。私が好きなバランスでした。なんですが、1週間もすると、なーんか付帯音があって、音の見通しが悪い、不必要に残響音が強い感じが気になってきました。で、Furutechもオヤイデ電気もダメと思って、Audioquestに行くんですが。
分解能は、Furutechには劣りますが、Audioquest、Zonotoneよりは上です。Furutechに肉薄する感じですかね。スネアドラムの音は、ちゃんとヒット音と胴鳴りとスネアワイヤーを分けて再生してくれます。管楽器の非整数倍音成分の再生は甘いですが。これが好みでこれを選ぶというのも全然ありだと思います。

- Audioquest Carbon





Furutech3.6m、オヤイデ電気とも満足しなかったときに、「困ったときの米国製品」と思って買ったのが、このケーブルです。帯域がフラットなのは、期待通りだったのですが、「なーんか、音があっさりしすぎてないかぁ」。改めてしっかり聞いてみると、耳障りな音は決して出さないという固い決意を感じさせる音。とにかくスムースで、「なんかMP3の音みたい」と思ってしまいました。音の生々しさを求める私としては、方向性が真逆です。分解能は低くないんですが、音の生々しさはほぼ取り去られていました。アメリカ人てこういう音が好きなのかなぁ。ホント??
しかし、まぁ、似たような価格帯ですが、音質の方向性は、三者三様。オーディオって趣味性の塊なのね、と思いました。

- Zonotone Grandio





この時点で、Furutech3.6mもオヤイデ電気もAudioquestも満足してなかったときに、「オーディオのマエストロの耳を信用してみようか」と思って買ったのが、このケーブルです。といいながら、実はそんなに期待してませんでしたが。
価格が4割も違うので、冷静に考えれば、当たり前なんでしょうが、分解能がこれだけ落ちます。他の三つのケーブルは、スネアのヒット音とスネアワイヤーの振動をしっかり描き分けますが、このケーブルはごっちゃです。
分解能が悪いというのは、別の言い方をすると歪んでいるということなんですが、その影響で迫力のある押し出しのいい音に聞こえます。音域バランスとしては、どこか強調する帯域があるということはなく、フラットです。
SU-G700を懐かしいと思うメンタリティーからすると、いや、このケーブルの音もありだよね、と思います。

• デジタル信号を伝えるケーブルだよねぇ

アナログ信号を伝えるスピーカーケーブル並にUSBケーブルを変えると音が変わります。ちょっとまだ頭では納得してないですね。いや、デジタル信号を伝えるケーブルでしょ。伝えたデジタル信号はデジタル信号として等価ですよね。それでなんでケーブルで音が変わるの。

それはともかく、4つのケーブルの音質は全く違っていて、驚きでした。ケーブルの設計変えりゃ、音変わるとは思いませんでしたねぇ。分解能のFurutech、どっしりとした重みのある音のオヤイデ電気、ひたすら聞き心地がいいAudioquest、明るい音色のZonotone、本当に四者四様です。

• Furutech GT2-NCF-USB-B

4ケーブルの聞き比べは、最初はオヤイデ電気、Zonotoneは、1.2m、Audioquestは、1.5m、Furutechは、3.6mでやっていたのですが、どうもFurutechの実力が高そうだ、ということになって、Furutechの1.2mを買ってつないだところ、ドンピシャでした。最初の読みは当たりましたが、なんかえらく遠回りしてゴールに辿り着きましたね。

こうしてFurutechが常用になったのですが、夏場に音が乱れるのは、十分あり得る話と思ってます。今年は10月に入っても暑かったのですが、中旬に涼しくなったとき、高域の付帯音がなくなった印象がありました。気温が高いときは、PCが高域の付帯音を出していた可能性があるし、みんながエアコンかける関係で電気にノイズがのって高域の付帯音が発停していることも考えられるし。今は、SU-R1000のPC1にFurutech GT2-NCF-USB-Bを、PC2にオヤイデ電気 Continental 5S V2をつないでいます。この部分は、来年の検証ですね。

(2024年10月26日　記)