★ [SilverSackの自画自賛] 車とかオーディオとか
1982年にCDの生産が開始しました。音源がデジタルになったという事です。デジタル化は、当時、それなりに夢を持って語られていて、それ以前にも、Casiopeaが1980年発売の4枚目のアルバム「Make Up City」で、「デジタル録音しましたっ」と近未来感を前面に出して大々的に宣伝していました。明るくて前向きな時代です。ンじゃあ、私はどうだったかというと、そのMake Up Cityを再生(アナログレコードですよ、まだCDが出る前ですからね)したところ、あまりの奇妙な音質に「これ、ダメダメじゃん」と思って、「技術的にこなれるまではCDには移らんとこ」と心に決めたのでした。CD導入に踏み切る機会は中々来なかったのですが、1986年にAccuphaseが満を持してCDプレーヤーを出し(3月でした)、「Accuphaseなら間違いないだろう」と思って導入する事にしました。1986年はCDの販売枚数がアナログレコードの販売枚数を上回った年でもありました。
このAccuphaseのCDプレーヤーは、プレーヤー部のDP-80が26万円、DA変換部のDC-81が40万円、計66万円と、当時最も高価なCDプレーヤーでした。実際に買う際は55万円まで値引きされましたが、冬のボーナスをほぼ全てつぎ込みました(11月に買ったので若干フライングしてますが)。独身貴族、ここに極まれりですね。 まあ、技術的な特色は、DA変換回路をICを使わずにディスクリートで組んだところですか。極限までに正確なDA変換を行ったと謳っていました。落ち着きのあるいい音でした。当時は、快活で押し出しのいいパイオニア、高分解能で繊細なヤマハといったように、各メーカーがそれぞれ特色を持っていましたが、Accuphaseは、高分解能で、音域はフラットでムダな派手さはなく、音色はどっしりとした落ち着きとふくよかな質感があって、高級な音とはこういう音をいうんだと思わせる説得力がありました。高い買い物でしたが、全く後悔はしませんでした。 音の質感の高さに特徴があるAccuphaseは、私が目指す方向性と完全に一致しているわけではないのですが、そもそものポテンシャルが高く、DP-80/DC-81になって、「クリアで高分解能でシャープ」という私の目指す音に向けて明らかにレベルが一段上がったと感じ、これがレファレンスになりました。当時は、アンプを自作していたのですが、パワーアンプ部は、DP-80/DC-81に相応しいレベルにしないといけない、それまで買いためたアナログレコードもDP-80/DC-81と同じレベルで鳴らしたいということで、自作アンプのレベルアップが私のオーディオ上の最大の課題になりました。10種類くらいの回路を作り比べて、どのイコライザ回路がM-21PをDP-80/DC-81に近い音で鳴らすかなんて、実験をしたのもこの頃だったと思います。私が作るアンプは、その試行錯誤の中で「(インバーテッドダーリントン接続+カスコード接続+電流帰還)の単段アンプ」に落ち着いていくのですが、この間目標は一貫してDP-80/DC-81だったのです。 結局30年に渡って使用したのですが、Accuphaseの実直さが印象的でした。最初は、会社の寮で使っていて、とてつもなく狭い部屋だったので、一回、CDを入れ替えるときにCDトレイに腰掛けてしまって、トレイが締まらなくなるなんて事をしてしまいました。こちらの使用上のミスによる故障ですから「有償で修理をお願いします」とAccuphaseに送ったところ、「お代は要りません」と無償で修理されて返ってきました。25年以上経ったあたりで、ゴムのベルトがへたったのかCDトレーが動かなくなって、Accuphaseに修理で送った事があるのですが、「もう部品がないので、修理できない可能性があります」といいながらも「調整で直りました」と返ってきたり、なんか顔が見える対応でした。 「オーディオ遍歴1 : Fostex HP-A8」でも書きましたが、このDP-80/DC-81は、ハイレゾの導入を期に売却しました。1986年に買って、2015年に売ったので、29年間ですか。長い間よく頑張ってくれたと思います。トータルとしては、HP-A8の方が上かなと思いましたが、HP-A8は輪郭がふわっとした感じの音質だったので、好き嫌いでいえばDP-80/DC-81の音質の方が好きでした。売却価格は10万円。30年経ってこの金額で売れるというのは、やっぱりブランドですよね。 (2018年 1月27日 記)☆ Accuphase DP-80/DC-81との思い出
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