2020年大晦日の紅白歌合戦で、東京事変の「うるうるうるう」にぶっ飛びました。いつものように数日ウダウダしてからネットで調べると、東京事変とは、椎名林檎を中心としたロックバンドで、2012年に解散したけど、2020年に活動再開して、4月にミニアルバム「ニュース」を出した、なんてことが分かりました。MORAで「ニュース」をチェックすると、どれもなかなかの出来だったので、即購入と。新しく知ったアーチストのアルバムを買うなんて、何年ぶりかなぁ。2011年に上原ひろみトリオプロジェクト買ったけど上原ひろみは前に買ったことあるし、2002年頃にむしまるQ買ったけどオムニバスだし、なんて考えると30年ぶりかなぁ。

しかし、「うるうるうるう」にはぶっ飛びましたね。ジャズのテイストありーの、ロックのテイストありーの、ギターはどう考えても昔の風情と、60歳越えのロートルにはメチャメチャなじむんですが、それでいて曲全体のテイストは現役バリバリと。メンバーの演奏のセンスもいいですよね。ドラムもベースもキーボードもギターも結構方向性はバラバラで一癖ある、ハイスピードでハードという感じではないけどとんがっていると。こう、凄さを表現しきれないもどかしさでいっぱいなんですが、音楽のかっこよさはいくら言葉を尽くしても聞いてない人に伝えるのは無理ですよね。この位にしましょう。

このアルバム「ニュース」ですが、作詞は5曲とも椎名林檎、曲は5人が一曲ずつ書いていて、この曲はキーボードの伊澤一葉さんの作曲です。「ニュース」の中では曲調は一番マイルドで、歌詞も一番とんがり度合いが抑えられていて、紅白歌合戦でこの曲をやったのは、よく分かります。他の曲は下手したら物議を醸したかもしれませんから。ま、そこら辺の所は別記事で書きます。それはともかく、何度も聞いてやっと気がつきましたが、歌詞、いいですね。

サビに挟まれた部分の歌詞は、ストイックで戦闘的な言い回しでしかもわかりにくい言葉の連続ですが、サビの歌詞と並べてみると、ほとばしり出ようとする熱情を内に留めておくために平静を装う言葉であることが分かります。なんという恥じらい、そしてなんという熱情。そして、サビでは思わずその熱情があふれ出てしまうと。そんなの男が見てしまったら冷静でいられるわけないじゃないですか。

「煽りたい貴方の炎を/煽られて燃え燃やされ/未だ誰も捕まえていない/火種へ着火したい」ですよ。別にテンションの高い曲調でもなく、特に情熱的な歌声でもなく、でも中はメラメラ燃えているのです。

(2021年 3月20日　記)