The Carpentersの3枚目のシングル、1970年のヒット曲です。もう50年以上経つんですね。若い二人が新しい人生の門出で期待に胸を膨らませる歌ですが、60過ぎた身には余りにもまぶしくて、しかも過ぎた人生がフラッシュバックして涙を流してしまうという、ちょっとたちの悪い曲です。いや、それで何度も繰り返して聞いてしまうんですが。

Wikipediaによると「リチャードは『カーペンターズの代表曲を挙げるなら "愛のプレリュード" だな』と語っている。」そうですが、同じ意見です。静のパートと動のパートを両方持っていて、曲調にメリハリがあるのは、The Carpentersの曲の中ではこの曲だけじゃないですかね。静のパートの管楽器、ストリングスのアレンジ、それから動のパートのピアノのグルーブ感、コーラスの入り方も秀逸で、様々なギミックがこれでもかと入っている感じです。話が前後しましたが、この曲、邦題は「愛のプレリュード」です。妙ちくりんな邦題も多かった中、この邦題はドンピシャでした。ちゃんと歌詞の中身を理解して、それをうまく伝える日本語を探し当てていると思います。当時は、結婚式の披露宴でよく使われたんじゃないかなぁ。

さて、歌詞ですが、これから始まる二人の人生を前に溢れる期待を歌う歌なので、その気持ちが伝わる単語を選ぶ事に心を注ぎました。アメリカ人が抱くイメージと日本人が抱くイメージに差があって、直訳すると気持ちが伝わらなくなってしまう単語は敢えて訳さないなんて事もしました。うまくいったかどうかを判断するのは皆さんですが。しかし、「So much of life ahead」の表現は改めてまぶしいですね。直訳すると「私たちの前にはこんなにもたくさんの人生」ですが、込めた気持ちも含めて日本語にすると「この人との人生が始まった。これから私たちはもっともっと大人になって、もっともっと幸せになっていく。そんな時間がこれからの長い人生ずっと続くんだわ。」ということでしょ。まだ見ぬ人生をこれだけ前向きに捕らえられるって。若いって素晴らしいなぁ(遠い目)。

(2022年 2月12日　記)