☆ 岡田斗司夫さんといえばやはりこっちでしょう

「いつまでもデブと思うなよ」が大ヒットした岡田斗司夫さんのほぼ同時期に発表された本です。「いつまでも、、、」が2007年8月、こちらが2007年6月、なので、こちらの方が2ヶ月前ですが。「いつまでもデブと思うなよ」がヒットしたのは、実用的な効用があったからだと思います。しかし、アニメオタクを源流に持つ方の著作で「実用的な効用」というのも、なんかそぐわないと思ったので、思わずこっちを買ってしまいました。岡田斗司夫さんが「世界征服は可能か」というタイトルで本を出すとなれば、もう内容は大体想像がつこうというものです。

☆ で、「世界征服は可能」か

「世界征服は可能か」というこの本の命題ですが、アニメなどで悪役が目指している「世の中すべて自分の思うとおり」という世界征服は不可能なんですね、たいていの人がうすうす感じているように。征服している領域が広くなれば新しい領域の人たちとうまく折り合いをつけないとみんな征服され続けてくれないし、征服し支配下の人を圧制下のおいてしまうと発展が遅くなって、自由な地域よりレベルの低い社会になって、今度はそんなところに飲み込まれてしまって、征服し続けられなくなる、なんてことが起こったりしますから。

一瞬世界を征服することは可能ですが、それを継続することは不可能な訳です。なので、アニメで悪役が自分がやったことをカミングアウトして、正義の味方にやられてしまう、というのは、ある意味現実に起こることの象徴なのでしょう。勿論、支配/被支配の関係、上下の関係というのはあります。逆にいうと完全に対等な状態というのはあり得ないですから。でも、すべて自分の思い通りとはならないのです。例えば、ここしばらく日本は景気が悪くて賃上げなんてとてもとてもという状態でしたが、経営陣もとうとう市場拡大のため賃上げせねばという論調になってきました。全部独り占めすると結局実は自分も困るのです。(程よい独り占めはやってるだろ、といわれれば、その通りですが。)

☆ 楽しみは他にある

でまあ、この本で言っていることは、実は上に書いたことを出ていない、とも言えるんですが、でもだからこの本がそれだけ、ということもないんですね。というより、実は上の命題はあくまで雲の芯になる塵であって、雲本体ではないんですね。「世界征服は不可能」なんでしょうが、んじゃ、実際にやったらどうなる??というノリの下、起こるであろういろいろな滑稽なことを次から次へと展開してくれて、迷路の袋小路に全部ぶち当たったような快感(分かりますかね、分かんないかもしれませんが。)があります。ここら辺の発想の豊かさとバラエティの広さと滑稽さに対する感度はさすがアニメオタクです。で、「ケンブリッジの卵」と同じ結論になりますが、「ホント結論に至るまでの試行錯誤が一番おもろい」んですわ。

☆ ネット上の情報

• Amazon.co.jpで「世界征服は可能か」を買う
• 岡田斗司夫さんのブログ

(2008年 1月16日　記)