飛鳥の遺跡に興味を持って、それを見るまえに「ブラ明日香 - 0. 飛鳥時代とは」で飛鳥時代についてWikipediaを情報源としておさらいをしました。で、飛鳥時代といっても、実際にはa) 蘇我氏の時代、b) 天智天皇の時代、c) 天武/持統天皇の時代の三つの時代に分かれていて、全体としては、天皇を取り巻く有力者の淘汰が進み蘇我氏のみになった後、天智天皇、天武天皇と二代かけて天皇中心の国を作り上げたという経緯であると知って、「いや、これって、天皇優勝に向かうトーナメントの準決勝と決勝だけじゃん。予選から見てみたいわ。」と思ったのでした。ここら辺をなんとか知りたいもんです。で、このシリーズのタイトルは「天皇、日本統一への道」です。

ここら辺は、邪馬台国の所在地論争とか、天皇の実在論争とか、正に「諸説あり!!」の世界なので、どこぞの博物館に行って「はい、分かりましたー。」なんてことはあり得ず、まずはいろいろな書籍にあたって理解を深めるところから始めることになります。でこちらは、「SilverSackの書斎から」に引っ越して展開します。

---

1. (その1) 新もう一度読む山川日本史
2. (その2) 邪馬台国再考(小林敏夫)
3. (その3) 卑弥呼とヤマト王権(寺沢薫) (1) 日本での国家の始まり
4. (その4) 「卑弥呼とヤマト王権(寺沢薫)」(2) 邪馬台国
5. (その5) 「卑弥呼とヤマト王権(寺沢薫)」(3) 邪馬台国と纏向遺跡
6. (その6) 「ヤマト王権の古代学(坂靖)」(1) 再び邪馬台国
7. (その7) 「ヤマト王権の古代学(坂靖)」(2) 奈良盆地の勃興
8. (その8) 「ヤマト王権の古代学(坂靖)」(3) 大阪平野の巨大前方後円墳
9. (その9) 「ヤマト王権の古代学(坂靖)」(4) 継体天皇
10. (その10) 「倭国の古代学(坂靖)」(1) ヤマト王権以外の有力勢力 (その1) 奈良盆地
11. (その11) 「倭国の古代学(坂靖)」(2) ヤマト王権以外の有力勢力 (その2) 奈良盆地以外
12. (その12) 「倭国の古代学(坂靖)」(3) 4～5世紀の倭国と朝鮮の関係
13. (その13) 「倭国の古代学(坂靖)」(4) 倭の五王の時代
14. (その14) 「倭国の古代学(坂靖)」(5) 6世紀の倭国
15. (その15) たぶんこうだったんじゃないか劇場

---

• 6世紀の天皇

雄略天皇の後、実在が確実視されているのは継体天皇だそうですが、どうもこの継体天皇以降の天皇はまず間違いなく実在していただろうと思われているので、継体天皇以降の天皇を6世紀の期間について整理しましょうか

天皇	即位年	退位年	生誕年	崩御年
継体天皇	507年	534年	452年	534年
安閑天皇	534年	535年	466年	536年
宣化天皇	535年	539年	466年	539年
欽明天皇	539年	571年	508年	571年
敏達天皇	571年	585年	537年	585年
用明天皇	585年	587年	539年	587年
崇峻天皇	587年	592年	552年	592年

西暦年はWikipediaの記載辺りを元に逆算して計算した結果でところどころ正しくないものがあるかもしれません。ここで最後にあげた崇峻天皇は蘇我馬子に殺害され、その後推古天皇が即位して飛鳥時代が始まります。6世紀最後の天皇が古墳時代最後の天皇でもあるわけです。これで一区切りですね。

• 継体天皇

継体天皇については、「(その9)継体天皇」で取り上げましたが、今回読んだ「倭国の古代学」にもう少し詳しい情報がありましたので、ここではそれをまとめます。

• 継体天皇即位前の倭国はヤマトに大王はいたが実権を握っているとは言い難く、この時実権を握っていたのは「かつらぎ」の王であったと考えられる。
• 継体天皇の前にはヲシ大王という者がおり、この者が実権を握っていた。継体天皇はヲシ大王の地位を引き継いだと考えられる。但し、ヲシ大王と継体天皇の間には血縁はなかったと考えられる。
• 今城塚古墳が継体天皇陵であることが確定したが、宮内庁が継体天皇陵とする太田茶臼山古墳は継体天皇の父親の古墳であると思われる。継体天皇の父と継体天皇の基盤は三島地域にあった。
• 継体天皇の大王への即位はヤマトの豪族の承認の元に行われた。継体天皇の側に決定権があったわけではない。
• 継体天皇の母親は「コシ」(福井県辺り)の出身、妃は「オウミ」(滋賀県湖西)の出身で、これらの地域も基盤としていた。
• 「オワリ」、「カワチ」、「ヤマシロ」といった地域からも継体天皇と関係があると思われる物が出土しており、継体天皇はこういった地域にも影響力があったと思われる。
• 筑紫の君磐井の乱は日本書紀の記述どおりではないが、実際に起こったもので、これが指し示すのは、それまで新羅と独自外交を行い、ヤマト王権からは独立した存在だった北九州の勢力がヤマト王権の傘下に入ったことである。

こんなところですか。ストーリーを読み取れるほどの情報量はなく、まだまだ分からないことが多いんだな、という感じがします。

• 継体天皇後

継体天皇没後について情報をまとめておきます。

• 継体天皇没後に武蔵国造の乱が起こった。この後この地域に前方後円墳が作られており、これを機にこの地域がヤマト王権の支配下に入ったと考えられる。この時代様々な地域でヤマト王権が土地を管理するようになった。
• 継体天皇没後、大伴氏が弱体化し、蘇我氏が台頭した。
• この時期大王はいたが、各氏族もそれぞれの活動をし、内部抗争もあり、大王と氏族が一枚岩で政策を遂行する状態ではなかった。
• 欽明天皇の時代にようやく大王と有力氏族による作られ、その政権の方針に基づいた外交政策や地方政策が展開されることとなった。

で、この後蘇我氏への権力集中が更に進み、飛鳥時代へとなだれ込んでいくわけです。

• ネット上の関連情報
• Amazonで「倭国の古代学」を買う

(2025年11月22日　記)

(その15) たぶんこうだったんじゃないか劇場へ